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◇◆ Barista 3 ◇◆
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さっきまで黄褐色の塊を乗せていたアイちゃんの舌が、今はその塊を奪い返そうと、私の口の中を弄っている。
私のほうは、アイちゃんの舌の猛攻撃に、それを取られてなるものかと必死の攻防を繰り返している真っ最中。 普通の状態ならば、こんな異常な思考回路の自分をおかしく思っただろう。 でもアイちゃんじゃないけれど、ココアの媚薬にやられちゃったんだと、頭のどこかで考えていた。 これぞ、ポリフェノールの底力だ。 だけどアイちゃんの舌が、絶対にそこには隠せるはずのない上顎をチロチロと舐めるから、 ゾクゾクと鳥肌が立っちゃうような感覚に襲われて、思わず口から言葉が漏れる。 「あふっ…んっ!」 そんな小さな悶える声を聴いた途端、私の舌に絡みつき始めるアイちゃんの舌。 舌の上を舌でなぞったり、チュルって音を立てて舌に吸い付いたり、ありとあらゆる手腕で攻撃するアイちゃんに、 たまらずギブアップの声をあげるけれど、その声もまたアイちゃんの口の中に吸い込まれてしまう。 「…んふっ……あふっ…」 息を吸い込むたびに、自分が出してしまう変な声。 スツールに座っているはずなのに、身体はクラゲみたいにクニャクニャで、今にもそこから落ちそうだ。 頭の中はココアのクリームみたいに真っ白で、お風呂で寝ちゃったときのように、グブグブとアイちゃんの唇と舌に溺れていった。 身体はココアを飲んだあたりから、ずっとフワフワと宙を舞っているけれど、今度のこれは本当に宙に浮いている感じがする。 だからアイちゃんの唇がようやく私から離れてくれたとき、朦朧としながら薄っすらと目を開けてみた。 するとやっぱり、歩いてなどいないのに、ドアの取っ手がどんどん近づいてくるから大変だ。 「あ、あぶない!」 無我夢中で手足をバタバタさせて叫ぶ私を、上から見下ろすアイちゃんが嗜めた。 「動いたら、もっと危ないよ?」 そうだよね、その通りだ。なんてなぜか自然と納得して、そこからは借りてきた猫みたいに大人しく丸まった。 しつこいけれど、歩いてなどいない私が、なぜか勝手に訪れたドアの先に見えたものは、 レースが掛かった大きな天蓋付きベッドだけが置かれた部屋で、アイちゃんて、少女趣味なんだなどと失笑を漏らしてみる。 だけど、そのベッドにゴロンと転がされたとき、なんとなく理解した。 私はアイちゃんに抱き上げられて、ここまで来たんだと。 そしてこのベッドは、いつも寝ている自分のベッドより、数倍寝心地が良くて、数倍懐かしいと…… なんでそんなことを思ったのかは解らない。それでも、そう思うんだから仕方がない。 今はそんなことを考えられるほど、自分の頭がしっかりしていないから、ここまで考えられただけ私は偉い。 不意に胸の息苦しさから解放されて、変な安堵の溜息を漏らしてみるけれど、なぜか冷たい空気が胸を包む。 精一杯の力で頭を起こして自分の身体を眺めれば、ポロっと丸出しの私の胸。 「ア、アイちゃん、ごめんね。わ、私、胸なんか見せちゃって……」 訳も分からず、恥ずかしさで謝る私の上を、跨ぐように乗っているアイちゃんが囁いた。 「気にしなくていいよ。鈴ちゃんのおっぱい大好きだから」 「えぇ、どこが? こんなに小さいのに……」 コンプレックスを刺激され、発作的に聞き返せば 「だって、僕の手のひらに、ジャストサイズでしょ?」 そう言って、見てごらんとばかりに、アイちゃんの両手が私の胸を包み込んだ。 「ひゃっ」 自分自身でさえ早々触ったことのない胸を、包み込まれる感触に息を飲む。 だけどアイちゃんの手は、私の小さな胸をプニプニと揉みながら、親指でピンク色の輪を擦った。 「ひゃんっ!」 ピクンと身体が勝手に揺れて、息を飲み込む音が声になる。 それでもアイちゃんの手は動きを止めず、逆に片方の胸の先端を口に含んだ。 チュパチュパと音を立てて、アイちゃんが私の胸を吸い上げるたび、キュッと絞られるような感覚が身体を駆け巡る。 「あっ…いやっ……ア、アイちゃ…」 初めてのその感覚に戸惑って、身を捩ろうとするけれど、いとも簡単にそれを止めるアイちゃんが、 今度は膨れてきた先端を舌で転がし始めた。 「んっ! あっ…あんっ!」 吸われたときよりも、鮮烈に身体に響くその感覚に、抵抗できないまま身体が翻弄されていく。 「鈴ちゃんは、その名の通り、鈴を鳴らしたような声だよね」 舌の動きを一瞬だけ止めたアイちゃんが、恥ずかしくなっちゃうようなセリフを囁いているけれど、 そんなセリフで恥ずかしがっている余裕はどこにもない。 転がしたり、吸ったり、舐めたり…… 忙しなく動き続けるアイちゃんのザラつく舌が、もうどうしようもないほど気持ちがいい。 胸を包み込んでいたアイちゃんの手が、ゆっくりと私の身体を滑っていく。 そして、いつの間にか綺麗サッパリなくなっていた私の洋服の中で、ただ一枚だけポツンと残された花柄の布に手を掛けた。 なぜだか解らないけれど、そうしなきゃいけないような気分になって、アイちゃんが困らないように腰を浮かす私。 そんな私の腰から、最後の一枚を剥ぎ取るアイちゃんが意地悪く囁いた。 「鈴ちゃん、もうビショビショだよ」 アイちゃんのその言葉に、お漏らしをしちゃった子どもみたいに情けなさで目をギュッと閉じ 「ご、ごめんなさい……」 泣きそうになりながら謝ったけれど、目を瞑ってしまっているから、アイちゃんの表情はわからない。 だから許してくれるかどうか心配しながらじっとしていれば、ヌルヌルとしたアイちゃんの指が、私の中心で動き始めた。 「あぁ…っ」 アイちゃんの指が下から上にヌルヌルと滑り上がり、自分では一度も触ったことのない、固く尖った蕾を指で弾く。 けれどその後は、私から流れ出るヌルヌルを指に絡めながら、そっと優しく円を描くように擦り始めた。 「あ、アイちゃ…あっ…あぁっ!」 身体の芯がボッと燃え上がるような、強烈な刺激が走る。 それでも、そんなもんじゃ足りないってなくらい速度を上げていくアイちゃんの指が、執拗に蕾を擦り続け 「あっ…ダメっ! あっ…んっ…ダメっ!」 なにがダメなのかわからないけど、そう言わずにはいれなくて、アイちゃんの指を払いのけようと腕を伸ばせば、 急に折りたたまれる私の足。 膝が胸にぶつかっちゃうほどギュッと押し付けられて、そんな私の足の間から、ヒョッコリ顔を出したアイちゃんが 「鈴ちゃん、もっと鳴いてね」 ニコニコしながらそれだけ言うと、また私の視界から消えた。 ヌルヌルとザラザラ。全く異なる刺激が、重なって襲い掛かってくる。 中心から足先にまで、ビリビリとした痺れが一気に流れていくから、もう自分じゃどうにもならないほどの、 狂った感情が心に芽生えて絶叫した。 |
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