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◇◆ Goditi la vita! ◇◆
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この俺さまが、人間界の日本という国にやってきて早三年。
俺やベルが本来住む世界『バール』と、人間界では流れる時間が大幅に違う。 バールでの一年が、人間界の十年にあたるんだ。 だから母親に公言した通り、バールではまだ、俺が旅立ってから三ヶ月しか経っていない。 そんなこんなで、向こうでベルを探し続けて一年半。 人間界に転生したと言われるベルは、その時点で十五歳になっていたはずだ。 さらに、こっちで三年を費やした。つまり、今ベルは十八歳。 俺の元から消えたときと、同じ年齢になっているはず…… 元々はお国繁栄の為、俺たちが生まれたときから決まっていた政略結婚。 だけど、国の行事があるたびに顔を合わせていた俺は、その政略結婚に不満など一つもなかった。 ベルもそうだと思っていた。小さいときから俺の後をついてきては、俺の命令に即座に従っていたし、 大きくなってからも、俺の命令に背いたことはない。 なのに突然ベルが消えた。 そのときの俺の気持ち? ふざけんな! の、一言に尽きる。 確かに薬学で有名なマキアート国から、媚薬を取り寄せては毎回使ったさ。 だけどそれは、ベルが痛くないようにと、この俺が気を遣ってやっただけのこと。 だから母親に詰られるようなことではない。逆に感謝されてもいいくらいだ。 そして何度も何度もベルを抱いて、俺だけに感じる、俺だけに悦ぶ、俺だけの身体に作り上げた途端、 あいつは消えた。 しかも、ようやく見つかったという情報が入ったと思ったら、転生だぞ? また一からやり直しじゃねーか! ところが、話はこれだけでは終わらない。 あいつが居なくなってからというもの、俺のナニがビクともしなくなった。 ベルが消えたと聞き付けて、バールの貴族の女たちが、挙って俺の元を訪れた。 俺の権力は絶大だし、その妃という名の座は、よだれが出るほどおいしい話なのだろう。 なのに、ベルよりも胸が数倍デカイ女が、フェロモンバリバリで擦り寄ってきても、 どこから侵入したのか、俺のベッドに裸で横たわる女を見ても、完全に無反応な俺のナニ。 きっと、マキアートの媚薬に副作用があったんだ。 だから、ベルしか受け付けない身体に成り下がった俺は、ベルを探し出すしか道はない…… 小うるさい母親の命令通り、三年間をかけて作り出した人間界での自分。 どうしてこんなことをしなければならないんだと悪態をつきながら、僕(しもべ)のいない仕事に精を出し、 その甲斐あって、とっても不本意だが、作り笑いという技術を覚えた。 再三調査を繰り返したけれど、日本に転生したとしか解らないままのベルを探すため、 ありとあらゆる方法で世間に俺の存在を示し続け、ようやく小さな手がかりを見つけた。 遠方から、俺の噂を聴きつけてやってきた女子高生が落とした生徒手帳。 その手帳の中に収まっている写真。 アップで映っているのはクソ食らえな男だが、その後ろに小さく写る横顔のベル。 「見つけた……」 その小さな顔を見た途端に熱いものが身体を流れ、それだけで固くなり始める俺自身。 これだけ吐き出していなけりゃ、そうなって当然だ。 その後はとんとん拍子に話が進展し、言葉巧みに生徒手帳を落としていった娘から情報を聞き出して、 ベルがその娘と同じ学校だということを知った俺は、ベルの通う学校がある街に転勤願いを申し出た。 これだけ有名になった俺に辞められては困る社長は、既になんでも俺の言うことを効く。 こうして、写真を見つけてから数日で、俺はベルの住む町の住人に納まった。 人間界に転生してしまったベルを、バールの世界に連れ戻すのは難しい。 バールの時の流れに、ベルの身体が壊れてしまうからだ。 生まれ変わったベルをバールに連れ戻す唯一の方法は、自分の中に脈々と流れる、バールの血を目覚めさせること。 つまり前世の記憶を、取り戻させると言うことだ。 ベルの人間界の友達から聞いた話では、既にベルは俺の存在を知っているらしい。 だから寛大な俺は、ベルに少し猶予を与えてやろうと考えた。 きっと俺を恋しく想う気持ちが溢れて止まず、すぐにやってくるだろう…… ところがだ、ベルは一向に現れやしない。 もう限界だ。堪忍袋が爆発寸前だ。 なんでこんな面倒なことを、あいつのためにやってやらなきゃならないんだ! いやと言うほど思い出させてやる。徹底的に、俺を思い出させてやる! そんな感じでブチ切れた俺が、強引に行動を起こそうとした矢先、バールと夢の世界を彷徨うベルを見つけた。 そこからの話は早い。ベルには前世の記憶がかすかに残っていた。 それをイラストに描き表し、懐かしむように想像を繰り広げていたのだろう。 なぜベルが人間に転生してしまったのかは解らないけれど、俺から逃げ出したわけではないことが確定した。 これでもう俺は、心行くまでベルを、ベルの身体を堪能していいってことだ。 転生しようが、前世の記憶がちょっとしかなかろうが、ベルは俺のものなのだから。 痛い思いを二度もすることになるベルはちょっ可哀想だから、またマキアートから媚薬を取り寄せて使ってやろう。 記憶の薄れたベルに拒まれても面倒だから、テンションの高くなる朦朧媚薬も必要だな。 あ、バールでベルを何度も抱いた、ベッドもこっちに運んでおこう。 俺って、本当に思いやりがあるよな。 好きでもない女のために、ここまでしてやるんだもんな…… けれどそこで、ふと気がついた。 ベルが既に、人間界の男に手をつけられていたらどうするんだ? いや、そんな馬鹿なことがあってたまるか。ベルは、鈴は俺のものだ。 そうこうしているうちに、ベルが。いや、鈴が現れた。 鈴の顔を見た途端、写真を見つけたときよりも数倍に湧き上がる妙な気持ち。 今すぐ抱きしめて、そのふっくらとした唇を死ぬほど味わいたい。 俺の指に、舌に、翻弄されて恍惚に喘ぐ表情を、悦び歌う声を聴きたくてたまらない。 そして何よりも、俺がこいつの中に包まれたい―― 逸る気持ちは手元を狂わせ、規定よりも多量の媚薬をココアの中に落としてしまったため、 酒に酔っ払ったような状態で、恐ろしくテンションの高くなった鈴を、少し大人しくさせるのに時間がかかった。 それでも、ようやくいい感じに朦朧としてきた鈴を抱き上げ、用意しておいたベッドに運ぶ。 服を剥ぎ取った鈴の身体は、胸の形も、ピンク色の輪も、摩りあげるだけで尖る先端も、 記憶にありありと残るベルの身体そのままだった。 鈴の反応の仕方からして、俺の予想通り、まだ男には触れられていない。 それで当然だ。ベルも鈴も、俺のものなのだから。 鈴とキスをしたときに、俺の中にも媚薬が入り込んだのだろうか? なにやら妙に嬉しさがこみ上げ、たまらずおいしそうな鈴の胸に、唇を這わせて吸い上げた。 我を忘れ、夢中になって音を立てながら舐めあげれば、抵抗することのなくなった鈴がコロコロとした声で鳴く。 「んっ! あっ…あんっ!」 それだけで、既に反り起つ俺のナニが、さらに脈を打って固くなる。 バージンであるはずの鈴が、残された下着に俺が手を掛けたとき、腰を浮かせたことに少し怯んだが、 前世の記憶を取り戻しつつあるんだと判断し、とりあえず言葉で責めるだけに留めてやった。 「鈴ちゃん、もうビショビショだよ」 鈴の身体を悦ばせることなど、カプチーノの上に似顔絵を描くのと同じくらい容易だ。 俺の何に反応し、どこが一番感じ、どうすれば絶頂に達するかが手に取るように解る。 そしてきっとまた、貫いた瞬間に、俺に噛み付くだろうということもだ。 だから媚薬を、ヒダの一枚一枚に丁寧に塗りたくってから、覚悟を決めた。 右でも左でも、いつでもこい! 結局、鈴が噛み付いたのは、ベルと同じ左肩だった。 なんだか懐かしい痛みと、鈴が無意識を装いながら、うっかり飛び出す前世の記憶にニヤケ顔が止まらない。 そして、俺の動きも止まらない。 限界が、すぐそこまでやってくる。久方ぶりの行為だから仕方がない。 それでも鈴を高みに何度も押し上げた俺は、ナイトの称号に相応しい! でも、もうダメだ。気持ちが良すぎる…… そして数年ぶりに味わう高揚感のまま、ありったけの想いと白濁した液体を、鈴の中にぶちまけた―― 意識を失ったまま横たわる鈴に手早く服を着せ、連れてきたときと同じように抱き上げ、そそくさと店に戻る。 なぜそんな真似をしたのか? 答えは簡単だ。他界で記憶のない鈴を抱くことは、掟に反するからだ。 バールに戻ってから、あれよこれよと母親に責められるのはうんざりだからな。 とりあえず、今の行為はなかったことにして、今夜の夢の中で。 正確には、バールと夢の世界を彷徨うだろう鈴を捕まえて、もう一度最初から抱けばいい。 だから、首を捻り続けながら家路を急ぐ鈴に向かって、言葉にしないまま念を押す。 「あとでまた、夢で逢おうね」 一からってのは本当に面倒だけど、仕方がないよね。 だって、鈴は俺のものだから♪ |
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