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零と愉快な仲間たち

 ひさびさに福本系の話題を出してみる。
 福本漫画を読みとくキーワードのひとつとして「仲間」を設定しているのだけれど、そういう意味で現在「零」でかれらが挑んでいるザ・アンカーを興味深いものとして読んでいた。
 これまで零が挑んできたギャンブルにおいて、零はすべて自身の能力だけで勝ちをおさめてきた。しかしザ・アンカーは違う。三人一組で挑戦するこのゲームは全員がクイズに答えなければならず、しかも生死を握る「アンカー問題」はランダムで出現するため零ひとりの力で勝つことは非常に困難だ。機転が利き、知識の豊富な(それこそ小太郎が呆れるほどに)零であっても、ユウキと末崎の協力なしには勝ち抜けないのだ。
 とはいえ、ギャンブルの内容がクイズということもあってユウキと末崎の対処能力は圧倒的に零に劣る。そのうえ頭上では常に巨大な錨が振り子のように行き来し、冷静さはたやすく奪い去られてしまう。ついでに、根性のひん曲がった小太郎がミスをするたびしつこく嫌味を言ってくれたりもするというおまけつき。
 そういう状況下で、鬼才・福本伸行が提示した「仲間とは何か」という問いに対する回答は意外にも(?)しごく真っ当なものだった。
 いわく「仲間とは、隣にいるだけで心強いもの」いや本当に正面きってぶつけてきたなー……、というのが正直な感想。実を言うとすこしばかり拍子抜けしたのだが、それは私がひねくれすぎた物の見方をしていたからだろう。
 福本伸行という漫画家は作品世界にとても真摯だ。「零」も徹頭徹尾少年漫画として描こうと決めているのだな、と一連のエピソードを読んでいてあらためて考えた。

 要約するとふくもとせんせーだいすきー、ってことです。

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