数々の裏設定が怒涛の勢いでご開帳とあいなった秋田箱、中でも注目株なのがやはり「世界離脱者(ウォーカー)」こと第四号神人種族「ガンディ・ワンスロウン」であろう。「エンジェル・ハウリング」のガンザンワロウン、「シャンク!」のガンバンワロウンに続いてついに「オーフェン」にもこの名が登場した。どう関係するのか、は具体的に不明のままであるので、作品世界のつながりなどについてはよけいにわからなくなった(笑)。彼ら3人のガンさんが同一の存在であるのか、あるいは各々平行世界のよく似た人であるのか、いずれ秋田禎信が語ってくれると信じたいところ。
ザとバの違いだけなら平行っぽいのだが、ガンディ・ワンスロウンとなると、音韻が抜け落ちたように見えるんだよな。
ところで私は以前「終端」12月4日付での感想で書いたように、「オーフェン」世界は循環を繰り返しているのではないか、と推測した。
不死の巨人…停滞、虚無の世界
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巨人の死…神々(=可能性)と世界の誕生
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何らかの事態(ex.ドラゴン種族による世界解析)による神々と巨人の現出
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巨人の成長による変化の克服
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神々の無意味化…停滞
こうした繰り返しの中で生まれた歴史のひとつが「オーフェン」であり、また「エンハウ」「シャンク」と考えていた。
しかし秋田箱を読むと、たとえば「オーフェン」の数千年後に「エンハウ」の歴史に移行したのかとも思えてくる。「エンハウ」にあるという氷海は、メイソンフォーリーンによる溶けない氷のことではないだろうか。ひょっとすると精霊たちも、克服されその存在を落としていった神人種族の成れの果て…とここまできたら突飛過ぎるな(しかし「神々」から「神人種族」という呼称の変更は明らかに位階が低められたと感じられる)。
さて秋田箱で新たに明らかになったことをふまえて「オーフェン」世界について私の考えをまとめてみる。なぜかHTMLに例えて。
<HTML>…これが世界である、という規定。
<HEAD>…物理法則など世界のルールが記述される部位。
<META>…ルールの具体的な内容。書き加え可。
</HEAD>
<BODY>…ここより実際に観測される部位、宇宙。
<!-- 宇宙が誕生し、歴史がつづられる -->
<!-- 始まりあれば終わりあり -->
<!-- すでに滅亡への秒読みは始まっている -->
</BODY>…宇宙の終焉
</HEAD>
基本的にBODYより下からヘッダへと干渉することはできない。しかしあるとき、BODY下の一要素に過ぎないスウェーデンボリーは神化を行い、自身の記述をヘッダ部へと移すことに成功した(<META NAME="walker" content="スウェーデンボリー">)。これが世界を離脱し、常世界法則と同一化するということである。
またあるとき、ドラゴン種族が魔術を開発したためヘッダ部に直接干渉することが可能になってしまった(つまりブラウザのバグを利用したハックのようなものかもしれないな)。これにより、本来不可視であったはずのメタタグが実際に形を持ってBODY下に現われるようになってしまい、終焉へのカウントダウンが始まったのである…いかん我ながらよくわからなくなってきた。こーゆートンデモ説を唱えてみるが、さて、いかがだろうか。そしてほとんどtwitterでのメモ書きのまとめと化している…。
ところで秋田箱で明かされた設定や物語の断片があまりに魅力的であるため、各所で「もったいない」との声が上がっている(私も心からそう思う)。しかし、3部や4部が実際に小説として書かれることがあるかどうかはともかく、世界設定についてはまた何かの作品で顔を出すのではないか、という気がする。すでにみっつの作品世界で使っているからして。