ラジデンの適当な使い方
ラジデンについて
ラジデン(SO213iWR RADIDEN)とは、リスナーの減少に悩むラジオ界の要望により若者を取り込むべく開発が行われ、NTTドコモから発売された世界初のTV/AMラジオ/FMラジオチューナー搭載携帯電話である。DoCoMoのコンセプトモデルのひとつであり、その名の通り同じソニーエリクソン製のpremini-IIを大きくしたような機体の裏側がまるまるラジオになっているのが特徴だ。デュアルフロントデザインにより、片面が携帯電話、片面がポータブルラジオでどちらも表面という構造になっている。つまりは日本書紀に記された両面宿儺やダブルA面シングルの如き存在で、最先端の情報機器である携帯電話と長い歴史を持つ枯れた情報機器であるラジオが融合したキメラだ。
これまでDoCoMoの他の機種やauなどの他社にもFMラジオを搭載しているものはいくつもあるがAMラジオを搭載することは技術的に困難とされていた。ひとつはAMアンテナはイヤホンなどで代用できないため必然的にサイズが大きくなり携帯端末には搭載できないことであり、もうひとつはAMラジオはパソコンや携帯電話などのデジタル機器が生み出す電気ノイズの影響を受けやすいため端末自身のノイズをもろに受けてしまうことだった。それらの問題点をラジオの技術力を誇るソニーが、端末自身のノイズを軽減する新型のAMチューナーの開発とアンテナ配置の工夫により解決しこのラジデンが生み出された。
ラジデン発売当初はAMラジオ放送局と連携したキャンペーンなどが華々しく行われしばらくの間は話題になったが、すでにスタンダードになっていた3G方式の第三世代携帯電話・FOMA端末ではなく旧世代のPDC方式の第二世代携帯電話・mova端末であることや、コンセプトモデルのためにデジタルカメラを搭載していない、iアプリに対応していないためゲームなどが楽しめない、外部メモリに対応していないためにMP3を再生するなど携帯オーディオプレイヤーとして使えない、などなどの諸要因によりいつの間にかすっかりマイナーな存在となり姿を消してしまった。やはりTV/AMラジオ/FMラジオの史上初3バンド携帯電話というコンセプトよりも、大多数のユーザーは多機能・軽量化の流れを選んだということなのだろう。
だが最近はショップによっては機種変でも1円などとラジデンが格安となったり、DoCoMoのデュアルネットワークサービスのサブ端末としての需要などから今さらながらにラジデンユーザーは増えているようだ。このページではさらなるラジデンの普及啓蒙のために便利な使い方などを紹介しよう。ここで紹介するラジデンのメリットの半分ぐらいはポータブルラジオでも代用できるがあまり気にしてはいけない。
「おれたちは滅びてゆくのかもしれない」 レイ・ブラッドベリ
最近のラジデン動向
- 2007/08/11 NTTドコモ公式サイトにてラジデンの生産終了がアナウンスされる。これに伴いコンセプトモデルとして掲載されていたラジデンの商品紹介ページが削除される。
- 2008/03/17 ソニー・エリクソン、事実上のドコモからの撤退を表明。販売やサポートなどは継続されるため現行ユーザーへの影響はなし。
ラジデンの活用法いろいろ
- ポータブルラジオ/通勤ラジオとして用いる
- ラジデンのラジオ部分の性能は、シンセチューニング・一発選局(プリセットメモリー)・オートオフ(スリープタイマー)・AMワイド(1601−1705kHz間の特殊な電波を受信できる)・ノイズ低減・スーパーエリアコールを搭載していることからわかるように、ソニーのポータブルラジオ上位機種と同程度の高性能なラジオとなっている。そのためこういった用途としては十分なほど高感度でクリアな音声を楽しむことができる。
- ラジオの反対側には携帯電話用の液晶画面があるため、ここに時計(アナログ式・デジタル式の選択が可能)やカレンダーを表示することができるのもたいていのポータブルラジオよりも有利なところだ。
- 連続再生時間はアイワのCR-AS10のような化け物じみたスタミナのある機種(AMラジオ+アルカリ電池+イヤホンの条件で700時間)と比べると、携帯電話と融合した製品のためにどうしても見劣りしてしまうが、寝ている間に充電しておくことでカバーできるだろう。
- 枕元に置いて深夜ラジオを楽しむ
- ラジデンのスピーカーはその性質上大音量こそ出ないものの、他のポータブルラジオ・ポケットラジオなどと比べても音質は良好なので枕元用ラジオとしてはうってつけだ。
- スリープタイマー機能(60分/90分/120分)が搭載されているので、卓上ホルダに置いて深夜ラジオを聞きながら寝ると、そのうちにタイマーでラジオは消えるので就寝中に聴き疲れをすることもなく安眠できるし翌朝には充電が完了している。
- 目覚まし時計として利用する
- ラジデンにはアラーム機能があるため、これを鳴らすことにより目覚まし時計として機能させることもできる。プリセットされているスタンダードなメロディやアラーム音なり、着メロサイトや勝手サイトで入手したメロディなりを自由に選択することができるのは携帯電話の利点だ。設定画面で繰り返しをONにして毎日同じ時間にアラーム音を鳴らしたり、曜日設定を行い特定の曜日のみ(または特定の曜日を除いて)目覚しとして作動させることができる。またアラームは五個まで設定できるため、重要な用事を控えて寝過ごすことが心配な場合は数分刻みでセットしておくといいだろう。
- 寝床ラジオとして使うついでに翌朝分のアラームをセットしておけば、目覚まし時計にもなり一石三鳥といったところだ。できれば目ざまし機能もラジオと連携して貰いたかったものだが、オートスキャン同様ソニーのポータブルラジオにはラジオで目覚める機能が付属しているものは出張ラジオしかないから仕方がないのだろう。好きなメロディを追加することができるのも他のラジオにはない利点なので、目ざまし用に好きな音楽を着メロとして準備しておくのも楽しいものだ。
- ラジオを聞きながらiモードを操作する
- ラジデンはラジオ部分が携帯電話部分とはほぼ独立して機能するため、ラジオを聞きながらiモードに繋いで連携が取れる。放送を聞きながらその場でリクエストメールや投稿メールを送ったり、iモードを立ち上げて番組の公式Webサイトからリスナープレゼントへ応募すると便利だ。
- 競馬中継を聞きながら出走馬の戦績を調べたり、スポーツ中継を聞きながらこれまでの試合経過やバックネット情報、選手のプロフィールなどをチェックすることもできる。
- 被災時にAMラジオが活躍
- 災害時の情報収集の手段として史上初のAMラジオ搭載携帯電話であるラジデンは最高のアイテムになる。送電が途絶したテレビや携帯基地局が壊滅した携帯電話は役に立たず、また災害に弱いFM放送が放送することができない状況下でも、簡単な設備で発信できるAM放送は放送を続けているからだ。
- もちろん世の中には、手回し充電・太陽電池充電・ライト付・防水・イヤホンで連続700時間聴取可能などのラジデン以上に多彩で便利な機能を備えた災害用ラジオやポータブルラジオも存在している。とはいえ、ある日突然、勤務先や外出先で災害が発生して帰宅難民になりかねない状況になった場合にそんなかさばるものを持ち歩いている人間はラジオマニア・被災マニア以外では稀だろう。現代人の装備率が財布やキーホルダー並に高いツール・携帯電話であるラジデンならばユーザーは常時持ち歩いてていることになり、これがラジデンが他のラジオに持つ最大のアドバンテージと言える。一朝事あらばもっとも死傷者が多くでる災害初期の混乱を乗り切るのに大いに役立つに違いない。
- またそんな大げさなカタストロフ的大災害でなかった場合でも、携帯電話というメディアは災害に弱いため通話が殺到して輻輳(ふくそう)が起こり電話がなかなか繋がらない状態になったり、数時間〜数日間基地局がダウンしてまるで使えないようなことになってしまうことがある。そのような状態であってもNHKや地元のコミュニティFMを聞くことによって情報を得ることができるので頼もしい。
- 欲をいえばラジデンの内部メモリに、防災・被災のこころえなどが記載されているようなコンテンツがあればさらに実用的になっただろう。
- 参考リンク : 民放101社統一キャンペーン「地震への備え」
- 夜間・暗所用ラジオとして用いる
- 散歩や会社帰り、登山やキャンプなどのレジャー、ベッドでの就寝といった夜間。屋根裏や蔵や地下室といった暗所。こういった状況でラジオを聞いていた時になにか興味を引く情報を耳にしたとしても、メモを取るためには照明をつけたり筆記用具やノートを探すという手間やタイムラグがかかり、肝心の内容を忘れたり聞き逃してしまうようなことがある。
- ラジデンならば操作中は液晶のバックライトはもちろんテンキー部分まで光るため、暗く手元が見えないようなシチュエーションでもメモ帳機能や音声メモ機能で情報を即座に記録しておくことができる。
- 若年性健忘症を防止する
- 簡単なものごとを忘れてしまう、今聞いたことを覚えられない、といったアルツハイマーにも似た物忘れの症状・若年性健忘症が20〜30歳代の人間に増えているという。医師により様々な原因が指摘されているが、この病気の俗称が「ITボケ」と言われているように主な原因はパソコンや携帯電話にあると言われている。
- 漢字やその筆順を覚えなくてもパソコンは簡単に変換してくれるし、携帯電話はあまつさえ予測変換すらしてしまう。計算も暗算・筆算・そろばんではなく電卓や表計算ソフト。電話帳や住所録は携帯電話のメモリー。こういった具合に現代人は記憶する・計算する・筆記するといった作業をコンピューターに頼り切っているために、使われない脳の部分の機能が低下してしまうというわけだ。
- その予防や治療に大切なことは脳の普段使わない部分を刺激するというものだが、実はラジデンでお手軽に?行うことができる。散歩などの運動をしながらラジオを聞き(運動・聴覚)、電子メールではなく肉筆で投稿葉書を書く(脳の活性化・手先を使う)とかなりの効果があるだろう。テレフォンリクエストや人生相談などの生電話番組にラジデンから電話すればコミュニケート(発語・会話)も補えて完璧だ。
- 参考リンク : 20-30代に増える「若年性健忘症」にご用心
- スポーツ生観戦中にラジデンで解説を聞く
- 日本相撲協会が両国国技館館内限定で放送している「どすこいFM」などのスポーツ界のミニFM活用例を紹介。そしてスポーツ会場で発揮されるラジデンのメリットについて
- ラジデンのAMワイドを生かし変わったラジオ放送を聞く
- ラジデンのAMワイドを利用して船舶気象通報、路側放送、海上交通情報といった特殊な放送を聞いたり、旅行・出張先でローカルなコミュニティFM・ミニFMを楽しむ
ラジデン スペック概要
- 寸法 : 高さ117mm×幅49mm×厚さ20mm
- 質量 : 約122グラム
- 連続待受時間 : 約320時間
- 連続通話時間 : 約120分
- 連続ラジオ再生時間 : AM・約20時間/FM・約14時間/TV・約13時間
- メインディスプレイ : 約1.9インチ(タテ160ドット×ヨコ128ドット)
- 半透過型TFT液晶 : 65,536色
- ラジオ用サブディスプレイ : タテ16.7mm×ヨコ23.1mm
- 和音 : 40和音
- AM受信周波数 : 531〜1710kHz
- FM受信周波数 : 76〜90MHz
- TV受信チャンネル : 1〜12ch
- 色 : Black&Silver