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ドミニク・コードウェルは毎朝2杯のコーヒーを飲む。不活性の脳のままで豆を引き、お湯が沸くまでの間にパンを3口、一緒に1カケラのチョコをかじるのが至福の瞬間――そう、今の彼女を満たすのはカフェインと糖分くらいしかない。


幼い頃から特ダネを追い続けてきた彼女にとって、ダンジョン暮らしは退屈そのもの。なるほど従業員は変態ばかりで、それこそ始めのうちは恋にも似た情熱で追い掛け回していたのだが、そんな鉱脈はとうの昔に掘りつくしてしまった。

後はただ、うんざりするほど代わり映えのない毎日。

彼女の商隊での地位はたんなるアルバイト、いくら彼女が商隊のボスであるシャマニの肉親であるからといって、3食昼寝がタダでついてくるわけではない。自分の食い扶持は自分で稼ぐ、その辺はむしろ姉の方が厳格で、ドミニク自身も当然のことだと納得している。

「……………ぁ……は…ぅ…………………んっ!」

熱いコーヒーがのどを通ると、彼女の身体はようやく起きだして仕事に向かう。見せる相手もいないから、化粧もしないし顔だって洗わない。油がつくから、クシで鋤くのも気が進まない。
寝る前と違うのは、ゴムの伸びきったズボンを強制的に腰に止めるためのベルトくらいで、それすら、トイレのときに邪魔だからできればつけたくないのだ。どうせフリフリの制服が待っている、彼女は廊下を行く間の一過性の他人の眼に、たいした価値は見出せない。

「ん……ぁ…」

口をポカンと開けたまま、親鳥のゲロを待つだけの空洞化した蝋人間のいうつまんないと違って、彼女の叫びは莫大なエネルギーを内包したままの核廃棄物に似ている。
情熱は並外れてあるから、それゆえに平地では満たされない。危険な不完全燃焼はブスブスとガスをだし、その鬱屈は負の圧力で毒のマグマへと変貌する。

そんなものを身体に溜めて、正気を保てる人間などいやしない。彼女は彼女なりに自分の性質を理解して、どうにかこうにか自分をごまかそうとするのだが、そのやり方というのがとどのつまりがオナニーである。

「あっぁ……ぁ…、…ゃ」

やり方自体は小さい頃から知っている。無知なりに、おしっこをするところが、それ以外にも妙な役割を担っていることを、大人たちの雰囲気からそれとなく嗅ぎとっていて、指でぺとぺとやることを繰返していたらある日突然一線を越えてしまった。

大げさでもなく、世界が丸ごとひっくり返るような快楽。よだれがやたらと糸を引き、それがほほを伝ってこぼれる感触すら、頭蓋骨を振動させるほど心地よい。

今思えば、それが秘め事に対する甘い思いの原風景。人がてのひらで物を隠せば、その裏に必ず蜜が塗ってあると、なんだか知らないが身体で覚えてしまった。

卑猥な気分に浸る時、夢想の中で相手をするのは常に姉。当時は男性器の形もセックスのなんたるかも知らないから、もやもやと霧がかった股間を必死でこすりつけるという行為をただひたすらに頭の中で反芻していた。

「あ……ゃぅ…だめ…」

それから時が経ち、生理がきて、人並みに胸が大きくなっても、定期的に自慰にふける習慣は変わっていない。
ここ数年は、世界の裏に隠された真実を追いかけるのに必死で、それこそ寝る間も惜しんで知識の泉にしゃぶりついていたのだが、なんだそこそこ世界の形が掴めてみればたいしたことはない。やってることは自慰と一緒なのだ。

迷っているうちは森を抜けよう抜けようとそればかりを考えて、抜けさえすれば世界の全てが安定するかのように思えるのに、いざ目の前が開け、一瞬のオルガスムが終わってみれば何のことはない、森に入る前と同じ景色だ。

霧は惑っているうちが良く、湖は底が見えないから神秘。
なるほどねとしか思わなかった。

「んっ…ぁっ……ぅ…んん!」

気がついてみれば、世界に知りたいことなどほとんど残っていない。森を抜けることには達者になり、それゆえ抜けたときの感動など水で薄めたように味がない。未知も禁忌も、子供の時のような強烈な焦燥感を与えてくれるものは何もない。

「んっ!…んぁ!…ぁぁあ!!」

いまや唯一の希望はまだ見ぬ人の、肌の味。彼女は自分の分泌液を手に受け、その味で精液の味や舌触りを夢想する。プルトニウムが止まらない。はやくはやく新たな燃料を燃やさなければ。ほんとうにこのままでは、女でもいいかなどと考えてしまう。

更衣室には宝の山。汗と体臭と、経血とホルモン物質。

そうして彼女が倒錯の沼に片足が沈みかけた頃、のこのこと現れたのがミスラである。


・・・・・・。


「こんなところで始めてらっしゃるたぁ…」
「ドミィ…」

更衣室の扉を開けたのはドミニク・コードウェルだった。ミスラをお腹の下でふにゃふにゃするミリモ姫をいじくりつつ、見まごうばかりに変身したドミニクを見る。

変身、まさしくそれ以上ない変わり様。

普段は開口一番、ネタはありませんかと雑誌の締め切りにでも追いかけられていそうなこの少女だが、いまでは適当に結んだ髪も後ろにおろし、胡散臭そうな眼鏡も外している。
洗いたての髪のにおい。肌の肌理の細かさも、南国のキラキラ光る浜辺の砂のような色をして、ここにくるまでにどんな魔女と密談を交わしたのか、その眼に湛えた光は蠱惑的な、深海の貝殻のような色をしている。

「どうせなら広いトコで…ってどうしたんですかいミスラさん?」
「ドミィお前…こんないい女だったとは…ぐるるる」
「やぅ…ちょ、ミスラのダンナ、痛ぇですよ…そんなゴツゴツと押し当てて…」
「うはははは、よいではないかよいではないか…、それともなにか、この猫バッジが眼にはいらんのか」
「もう…ダンナ…」

乙女らしく恥らう少女を、両手で退路を断ちつつも壁際に追い詰める。そんな仕草ができることを今までどうやって隠していたのか、少し眼を背ける様子とか、身体をかばおうとしてやっぱりやめる様子とか、いちいちミスラの心をワキワキさせる。

「あれー?ホント、ドミニクなん?」

リットーサが従者のモチャを抱いて寄ってくる。ドミニクは少しバツの悪そうな様子、やはり普段しないような格好を、同僚に見られるというのは恥ずかしいものか。

「なになに仲良いの、2人は?」
「別にー、会ったら話すくらいだし、当番が回ってきたりしたらね」

なげやりな吸血鬼は、ほかってあったタオルで己の性器を拭い、次いで腰、首、口の端を拭う。順番がおかしかろう、そう思ったが何のことはない、さりげなく精液のにおいを嗅いで酔っているのだ。

「いきやしょうダンナ、ウチの従業員はまだまだ数がいやすから…」

ミスラがリットーサに気をとられたスキをついて、ドミニクはするりと更衣室から外にでる。ミスラはエサでつられた猿みたいについてって、着いた先は3号車。なんでも、50人くらいは同時に入れるスペースはあるらしい、どこにそんな空間的余地が、もちろん魔法、超便利。

異国の花のにおいが鼻につく。ミスラはゆっくりと、見上げるようにドーム状の異空間に眼を配る。

薄暗い、少し緑の混じった茶色の天井に、フワフワと黄色い提灯が浮いている。点在する広めの丸イスはなにかの皮でできているのか、おそらく同じ動物の毛でできているのだろう絨毯が敷いてあって、見るからに高そう。
妙な紋様のタペストリー、土でできた帽子、鉢植え、今にも死にそうな人形。聞いてみればほとんどがデッドストックだそうで、そこまで粗末に扱うものでもない微妙なものがここにくるとかこないとか。

「あ、来たねミスラ君」

出迎えたのは、バスタオルの美女少女軍団。知った顔もあれば知らない顔もある。
座る者壁にもたれる者、モジモジする者、物事一切に興味のなさそうな者。

年頃の少女たちが、そろいもそろってふとももをさらけだすその異様さは、名品珍品不良在庫の比ではない。色とりどりの髪の色、肌、瞳の全部が、ミスラの身体をうかがうように見つめている。
少しだけ廊下の冷気に頭を冷やされたミスラは、改めて状況の異常さを痛感、少しだけげっそりした。

「事情は大体分かってます、もう準備はできてますからね」
「んん…一体アナタは…」
「私はテンネといいますね。一応参謀というか、軍師というか、頭脳労働担当ですね」
「ほほぅ…しかしこれはまたいいおっぱいをお持ちで…ゲフゲフ」
「あらうれしい。でも先に紹介だけ済ませましょうね」

クロガネ・テンネ。黄金猫商会ではNO2に当たる人物。

生まれつき光を知らない彼女の目は常に閉じ、そうであっても、魔力素粒子の流動すら将棋の駒のように頭の中で把握している彼女を、人は「天眼」と呼ぶ。
彼女がカサをさせば必ず雨が降り、彼女が米を蓄えれば必ず飢饉になる。月国出身で、カリンザもヨフネも、名前を聞いたら飛び上がるような大人物なのだが、もちろんミスラにわかるはずもない。ただただいやらしい目でおっぱいを見るばかり。たゆんたゆん。

「この子がクロル。私の弟子ですね」
「こ、こんにちわ。不束者ですがよろしくお願いします…」

なんだか男の子みたいな少女が、ぺこりとお辞儀をする。一目見てこの子賢いなと分かる顔で、動作も自然で無駄がない。綺麗な黒髪にショートカット。本当に女の子か?と疑問に思ってしまったミスラは、お願いしますといいつつもバスタオルをピラリとめくる。

「あ…あの…」
「生えてないね」
「すいません…気にはしてるんです…」
「毛のほうじゃなくてね」



そんなこんなで、ちょこちょこと紹介が始まった。
基本的には戦車の中ででくわした順番、気のせいかもう随分昔の話である。

ミスラを分解云々で困惑させた科学者態の変人はブラッドダリアというらしい。その助手的な、紫色の髪をした、セリフが全部棒読みな人は一号だとしかいわなかった。
続いて風呂場でミスラが突撃した三人。男装の麗人っぽい人はセネア・セピア、売れない劇団員。気のいいおねぃさん的な人はキャリベルローズといって、酒場担当看板娘である。ちびっこいお姉さんはエノと名乗った。

ロト・ハーヴェル、彼女の名は事前に聞いた。バスタオルのまま本を読み、ミスラがちんこを向けても反応しない。
キゥリート・セグネスシティ、自己愛にふけっていた彼女は、今はキリリとして威厳があり、2人の部下を連れていた。

「アリスナインよ」
「ギャラ・メイラです」

いかにも職務に忠実な、といわんばかりの女性2人と握手をする。キゥリートを17・8歳とするならこの2人は20代半ばだろう、青みがかった薄氷のような髪をしたアリスナインと、自由に、方々に跳ね回る焦げ茶の髪をもつギャラ。久々にまともな大人の人だとミスラは思う。
戦闘特化というよりも、むしろ隊内のめんどくさい事務処理を一手に引き受けているのがこの2人。企画立案、経理に総務、税金対策まで全部カバーしているのだそうだ。

奇術師シェロソピがいて、眠たげなトメキチがフガフガいいながらミスラの足に抱きつく。寝ぼけているのか、引き離そうとすると噛みつくので放っておくより仕方がない。

守備隊長ムナク・ジャジャは、ヘロヘロになったユイラとユキボタルを興味深げに眺めている。この謎の不可思議隊長も、一応2人にしてみれば直属の上司なのだそうだ。



「あれ?なんでヒスカがいんの?」
「うっせ、折れたんだよ、足、足、バーカ」

こちらはザクロ団のダメな大人の見本、ヒスカ・クランクアイ。そんな彼女の横にはリリィとアザカゼ。リリィは危ないから待機、アザカゼはお守りとして連結戦車に残った。
してみると宝剣探索メンバーはモナ、クリス、シャマニ、ティコ、ヨフネ、ミルチア、エルエンということか。魔族3人娘はどうしたのだろう。探索に参加してたら感心だが、案外ミルケロルやガニメロ、マユーなんかと遊んでるかもしれない。

現在ミスラの状況把握能力が的確であるならば、リットーサ、モチャ、ミリモ、タツカゲを加えて、小計25人もの美女少女が一同に会していることになる。さすがにもう、なにがなんだか。

「えーと、ニッケルくん?」
「クロルです」
「あーごめん、あの人達は…」
「あっ、バスカーヴさん、コカさん、ベノさん、おつかれさまです」

3人追加。

クロルがさわやかにあいさつを交わす。確かに社会人として最初に覚えるべきはあいさつだ。それはとてもよいことだ。
ミスラはテキパキ動く少女をを見ていると、ついついお小遣いをあげたい衝動に駆られる。

「ひゃぅ!…なんでしょうかミスラさん…」
「キミはなんかすごくいい子だね、いい子はこうやって頭を撫でて育てないとね」
「え?…はぁ。…あの……」

「はいはいミスラ君、コカちゃんを紹介しますね。あっちのおぶられてる子、体内で金の糸を作ってくれるこの隊の稼ぎ頭なんですけどね。足が弱っちゃって自分は歩けないんですね。」
これはテンネ。



「んー?だーれー?」

コカと呼ばれた少女はクッションの上に横たえられると、物憂げにミスラの方を覗き見る。線が細い。羽ペンの先でこすったように細い。それをゆったりとした服が覆っていて、浮いた鎖骨が妙になまめかしい。
流れるような銀髪は、その体躯の栄養を搾りとっているのではないかと思えるほど綺麗で、丁寧に手入れされていて、キラキラとわずかな光すらも跳ね返している。

「この人はミスラさん。コカちゃんのいいひとですよ」
「ふぇー?」
ミスラを見たり、テンネを見たり、不思議そうに、警戒しがちに、あるいは興味深げに。

「そうなのー?」
「ん?んん?多分そうだよよくわかんないけど」適当に応えるミスラ。
「きぁー、どうしよ、どうしよ、なんでいってくれないのよー、おフロおフロ、ロトー…」

少女はオロオロと、ロト・ハーヴェルに助けを求める。ロトは読んでいた本をその場において少女に寄りそい、よしよしとばかりに頭を撫でる。すごい仲よさそうな2人。



「おう坊主、よろしくな」
「ぼ、坊主…?」
「いやー、しっかしテレくせーなーオイ、はっはー」

バンバンバンッ

真っ赤になりながら豪快に背中をたたくのはコカを担いでいた人。いわゆるサラシというやつをして、今から祭でも始めるのか、そういうのが好きそうな感じがありありとする。後ろで縛った髪は先の割れた筆みたいになって、鼻先にかけている眼鏡は多分ダテ。
やけにさっぱりして、すがすがしく、腹に含むものが一切感じられない。同時に、すげー頑固そうだとミスラは思った。この人の前に、ちゃぶ台置いたら危険だろう。

「ミスラ様ー、こんなオッサンまぜたらつまんねーすよ」
「てやんでい!!テメェは黙ってろこのすっとこどっこい!」

「て…てやんでい?すっとこ…」

ちゃらちゃらとミスラに甘えてきたユイラが一喝されてしまった。バスカーブ・ヴィレ、黄金猫商会最古参のメンバーで、機械類の修理修繕、武器の加工まで一手に引き受ける職人である。

「かーっ!まかしたぜにーちゃん、オレぁやり方しらねーからな!ホレ譲ちゃんも挨拶しな!!」

バスカーヴの背中に隠れるように、少女が一人オドオドしている。ずっと地面を見て、ミスラの問いかけにも答えない。バスカーブいわく、なんでも一番新しいメンバーで、極度の恥ずかしがり屋。それゆえ商隊にもあんまり溶け込めてないからよろしくたのまぁ、とこうきた。

「嬢ちゃんよ、名前くらいいってやりねぇよ」
「よろしくねー」
「……。」

応えない。

「……。」
「……。」
「……。」
「……。」
「そりゃーー!!!!」
「…っ!!」

脅かしたら、ビックリして、走って逃げて、こける。

「ば…ばばば、ばっきゃろう、てめぇなにしてやがんでい!!」
「あ、いや、ちょっかいかけてみたくて…」

少女は転倒時に頭をガードしなかったため、せっかくのボブスタイルがくっちゃくちゃになって、半べそである。普通、こけたらガードしないほうが難しいと思うのだが。

「おいおい譲ちゃん、つばでもつけとけってわけにゃぁ…いかねぇよな」
「……ぐす。」
「リリィ!リリィヘルプ!ヘルプミー!!」
「あっ、なんでしょうかミスラさん…あら」

リリィはずっこけた少女に近づくと、よしよしと頭を撫でてやる。少女はリリィにがっしりと抱きつく。予想通りというべきか、リリィなら多分こういう子に強いだろうと、なんか雰囲気で呼んだら当たった。

「ベノちゃん大丈夫ですよ、この人は怖くないですから」
「……。」
「そうか、ベノちゃんっていうのか」
「……。」
「……。」
「……。」
「そりゃーー!!!!」
「…っ!!」

「だ、だめですよミスラさん、なにを…」
「あ、いや、ごめんねベノちゃん、仲良くしよ」

ガブリ。

噛まれた。

「あたたたた…痛い、痛いよベノちゃんでもかわいいよ」
「……!?」


ベノ・ザレロ。体内に毒物を代謝する血族。呪われた一族の血を絶つために旅にでて、頼りないながらもこれまで数々の修羅場を潜り抜けてきた猛者である。
普通なら、その噛みつきは魔界の大陸クジラすらしとめる猛毒であるのだが、ミスラにはあんまり関係なかった。呪われた血、親しくなった者を些細なことで殺してしまう運命。だから人には関わらないように生きてきた。心も内側に向けてきた。それなのにミスラ、この人は……

引っ込み思案だからそんなこと口にださないが、ベノにとってこの出会いは、本当に驚嘆すべき出来事なのだ。


・・・・・・。


少し間が開いた。

再確認的な意味合いで、軍師テンネが現在の状況を説明。黄金猫商会はミスラの所有物となったこと、シャマニは宝剣を探しにいったこと、魔族の接近、ミスラの爆発が近いこと。

ミスラは少し離れたところからその輪を見つめる。横にはリリィ、アザカゼ。リリィはヒザに、眠たげなトメキチを抱いている。

「なんかよくわかんねーことになってんなぁ…」

ヒスカ・クランクアイがめんどくさげにミスラにもたれかかる。バスタオル越しの全体重。相手にちょっかいをかけて、そこから会話を探るのはこの娘の常套手段だ。

「確かにアホになれとはいったぜアタシは…まさか実行するアホがいるとは」
「なんだよ」
「なに?そっちのお2人さんはもう食べちゃったの?」
「いいだろ、オレの嫁1号と2号だ。お前等と違ってオレにやさしくしてくれるのだ」

リリィとアザカゼを両脇に抱える。リリィの柔らかいわき腹、アザカゼのぐにぐにする腹筋、2人ともやはりバスタオルで。アザカゼは一瞬イラっとした表情を見せるが、特に文句もいわない。
ちりちりと指先ではぜる陰毛。ヒスカに見せるように、果肉を少し開く。

「あぅ、ダメですミスラさん…そんな」
「んお?なにがダメだリリィ、この透明な汁はなんだ、ん?ん?」
「や、…ダメ。開いちゃやぁ…」
「ぐはははは、リリィのリリィ部分が蜜蜜になってもう…」

「うおーい、ホントにダメだなコイツ…」



そうしてアザカゼと一緒になってリリィをいじいじしているところにクロルが寄ってくる。話はまとまったらしい。

「まず模範演技としてボクからすることになりました。なにぶん未熟者ですがよろしくお願いします」
「ああいえいえこちらこそバナジウムくん」
「クロルです。間違えるにしてもクロムかなんかですよね」
「…オホン。ってか、ここに集まってる人たちはフラミアちゃんみたいにはならないの?ちんちんをまんまんにえっちらおっちらするんだよ分かってるの?」
「え?…ぁ、っと、そ、そうですよね、おおかた大丈夫です。皆さんいろいろあった上でこの場におられるので…」

クロルがどう説明しようかといった感じで周囲を見渡す。その視線の上にイケイケのお姉さんがひっかかる。横にはちびっこいお姉さん、エノ・アセアリア。

「きゃはは、アタシはオーケーでーす。だってぇー、人生楽しまないと損だもんね、もうすぐ世界終わっちゃうかもしれないしー」
「はいはいアンタは空っぽでいいねキャル。…ああ気にしなくていいさ、私はキミを助けるためだと思ってる」
「はぁ…」

「心配しないでねミスラ君。納得してない子もすぐに合流すると思うからね」
軍師テンネが締めた。それを合図に、クロルが居住まいを正す。

「それではよろしくお願いします!」


・・・・・・。


「ふぁ……痛ぁ…」

くち…ちぐぐ……ぐ
くぷん。

四つん這いに尻を上げるクロルに、ゆっくりと挿入を開始する。
なにが嫌かって、ほぼ全員が、食い入るようにみてるからやりづらい。いきなり本能を開放して、どぎついまぐわいを見せつけるわけにはいかない。ハッキリいえばミスラはそうしたい、尻の穴とかそうしたい。

「あぅ…ごめんなさいミスラさん…、だ液を足してもらってもいいですか…っぅ」
「ああ、はいはい」
「皆さんも…十分に潤しておかないと…あぅ、スムーズに行きませんから…あたた」
「だいじょぶ?」
「はい…なんとか…がんばりますぅぁぁぁ」

終始模範演技という義務感にとりつかれたまま、スコスコと射精する。なぜか一同拍手。先ほど更衣室で先行挿入したグループは少し得意そう。

「こ、このように…性的な刺激が一定に達すると射精が開始されます…あぅ。…ミスラさん、皆さんに見えるようにしていただいても…」
「はいよー」

ぶぽ。びゅくん、びゅくん

また拍手。なごんだ空気の中で、クロルの尻は濁ったゲルで汚されていく。

「ぅぅ…こんな言い方は失礼かもしれませんが…やはりこの量は異常なようです。また、通常男性器は射精後すみやかに収縮しますが、ミスラさんの場合そういったこともありません。我々の目指すべきところは、まずそれを正常な範囲に戻すことで…」
「ふんふん」
「もうご存知かもしれませんが、我々の魔力をミスラさんにぶつけます。術の方はスケアクロウさんがコントロールしてくれますので、ミスラさんは自由になさってください」
「んー、ってか、ぶつけられたらオレ爆発するんじゃ…」
「中和の意味合いですね、水で薄めるみたいなもんです」
「あーなるほど」
「子供が欲しい方は膣内で精子を受けてくださいね。そうでない方はあちらでロトさんに着床回避の術式を受けてください…ひぁ、やだ、まだでてくる…」



それからはもうとっかえひっかえという感じで、押付けられる尻やふともも尻の穴、あまねく応戦し、舌でなぶり、一番近い膣に挿入する。
キャリベルローズとシェロソピ・ロンドンドン、チャラチャラした2人にユイラが加わって、順に突き、コカを抱いたセネア・セピアに後ろからかぶりつく。

「うおおおおお意味が分からない意味が分からない」

一号はなにを考えているのかよく分からない、ガクガクと口を台形にしながらうろたえ、ものすごい眼でミスラを睨んでいる。

ブラッドダリアは終始冷静、こんなもんかとむしろつまらなそうにされたのは腹に応える。その手に掬った精液を舐めとる有様、いやらしさもなく義務的に。


・・・・・・。


「にくひこぉ…」
「はいはい今行くよトメキチ」

集団から外れて、半分寝ぼけたままの天使がふにゃけている。この娘、自分がなんでバスタオルを巻いているのかも分かってはおるまいに。

「ほれ離れろアザカゼ」
「…ん?」
「やーん、ミスラ様もっとー」
「へいへい、はしたないよユイラ」

体液でべとべとになった身体を誰かのタオルで拭きとる。こびりついたにおいがきつ過ぎて、鼻が馬鹿になっている。

「にくひこ…」
「ん?」
「約束……守ってくれるの…?」
「なんぞ?」
「オラ…待ってただ…ずっと…ずっと…ずっとぉ…」

トメキチはそういうと涙を流し、ミスラのくちびるに舌を寄せる。ミスラも応える。なんだか分からないが応える。とろとろのだ液が、頭のどこかで乳臭いと感じつつも、どういうわけか甘く感じる。

細い腕で、もう離しはすまいとしがみつく少女。きゅぅきゅぅと、糸を引くような声が、ノドの奥から途切れることなく続いている。その糸を手繰るようにノド元にキスをし、鎖骨を伝い、まだ生えた痕跡もない腋の下へ。

タオルが密かに解けていく。その風圧で髪が舞う。

「ふぁ…。ん、ぅぅ…」

ミスラを押しやろうとするてのひら。その手に力はなく、むしろ甘えるように髪の毛をかき乱す。その指を捕まえて咥えるミスラ。すると少女はだ液に濡れた自分の指をくちびるに寄せ、悩ましげな表情のまま口に含む。

「きゅぁう!…にくひこ、にくひこぉ…」

少女の指から、だ液の味が消えていく。少女はそれに恐怖する。濡れたくちびるは糸を引き、その糸はまた愛しい人の存在を求める。味、におい、ぬくもり。少女は唾液のついた指でミスラのほほを捕まえ、ようやく安堵。

さてもミスラ。心身ともにとろとろになった少女を見るに、これ以上とろとろになる所もあるまいと肉物を果肉にあてがう。

「おめーそれ、犯罪じゃねーの?」
「うっせー現役犯罪者、時代背景だ、しかたがないのだ」

後ろからおっぱいを押付けるヒスカと舌をかみ合い、懐かしいだ液でノドを潤す。その行為をうらやんで、キャリベルローズが寄ってくる。

肝心のちんぽこはというと、先端がぬっぽりと包まれしばらく、なんだかつっかかってもげそうな感じがしていた。熱い体温。このまま進んだらポロッととれるのではあるまいか、んなバカなで進めてみれば、ちゃんとうまいこと軌道にのるから良くできている。人体の不思議。

「…んぐ…ひぅ……ぅ……ぁぁ………」

深く深く。角度を変えて、また奥へ。先っちょから、なんとなく少女の息づかいが聞こえてくる気がする。狭い。亀頭と肉茎の間あたりが妙に締めつけられる。痛いまでもいかない、粘膜を削られている少女のことを思えば痛いというわけにもいかない。

「…ぅぁ、うぐ……。…ふぁぁ…」

その場で少し、縦に横にと揺らすように腰を動かし、少しでも緊張を感じたら動きを止める。少女は熱に浮かされたように、ふぅふぅと息を吐く。それを吸い、吸いあいながら、背中や尻に指を這わす。彼女の額には、汗の粒。

発育途中の間接。浮いた骨。白い頭皮。

汗の粒が一つ、丸イスのクッションに音も無く吸われる。少女はずーっと、痛みに耐えて、こらえている。くちびるをくちびるで開くと、こらえていた少女の不満が、口の中に爆発する。
彼女はミスラの身体の中から、あらゆるものを吸い上げようと試み、ミスラの舌になだめられる。そのまま、ツンとはった乳首を指で押し、周囲を撫でる。ミスラは自分のためだけに数度揺すり射精。少女は己の中に注がれているものを感じ、放出の脈動を確かめる。

「ん…ぁ」

最後に一度、少女は今のミスラには分かりようのない言葉でお礼を言った。ミスラにはなんとなくそれが分かった。


・・・・・・。


時計は全然進まない。

クッションの効いた丸イスの上では、優等生のクロルと、エノ・アセアリアが同時に組み敷かれていた。身体を守るように丸めて伏せり、その尻を、掻き分けるようにミスラが舌で責める。

2人とも、ベトベトになったタオルを海藻みたいに巻きつけて、なんやら分からない体液でぬるぬるに、下腹部は、湯気でもでそうなくらい熟れている。両者ないまぜになった痛みと快楽でボーっとして、時々くる快楽のうねりに、熱いため息を吐くばかり。

「ふぁ……ん……ぅー…」
「はぁ……ん、……んっぁ…」

同じくらいの体躯。感度。それでもさすがに肌のハリの差は明白で、その事実をエノに伝えると歯をむきだしにして怒る。

「う…うっさいな…!…ぁぁ、っぁ、んぁぁ、あーもう!!!」

周囲の評判いわく、プライドの塊だというこの賞金稼ぎの小さなあねさん。ミスラごときにいいようにされるのがよっぽど悔しいのか、うんうんと呻いた後に突然叫んだり足をバタつかせたり。

最終的に気に食わなければ、ぶん殴って押し通す。そういう分かりやすい生き方をしてきた彼女にとって、まぁこのセックス的なことは何から何まで始めてづくし。
元々男女の性が自分に影響を与えるなんて考えたこともありゃしない、黄金猫商会に入ったのも気のいい仲間がいたという理由だけで、ミスラのことも、ちょっと困ってる子がいるから、気まぐれな慈善行為に手を貸そう、その程度のことだった。

よい意味で天真爛漫。ある意味で、育ってないのは身体だけではないのだ。

「ぁぁぁ…ぅぁ!やっ!ぁぅ…!!!ちょっと…それどこまでいれんの…!」
「ん?まだ入口だけど…」
「ウソだウソだウソだ!!舌!舌ヤダ!絶対入ってる!ちょっとバカほじくるなぁ!!」
p
肥え太った長い舌が、身体の内側でひっくり返るたびに、意思とは無関係に身体が跳ね、だしてもいない声がキーキー漏れる。頭の中の線という線が通電しては断線し、こんがらがって新たな刺激に押出され、関係ないこと意味のないこと、考えては止め、考えては止め。

一応戦闘要員でもあるエノ、まさかその脚力でミスラを蹴っ飛ばすわけにもいかないから、暴れようとする自分を懸命に内側に力を押さえ込もうとするのだが、変な汁がずっと漏れてて、それと一緒に身体を制御する力も抜けていく。
尻の穴に近づいたミスラの鼻に、思わず肉を押付けたりぶつけたり、やってから「あ、ごめん」とか思うのだがそれをいうのもなんか変で気まずくて、そう思うとなんでこんな出会って大して時間もたってない男に性器を舐められているのかとか、根本的な所から考えたり考えなかったり。

痛いのか気持ちいいのか好きなのか違うのか。汚らしいのか自然なことなのか。申し訳ない気持ちと得体の知れない充足感と、この少年は自分の身体で興奮しているのだという誇りと、まだまだ背とか伸びるんだという期待と不安と。

まあ要するに、もうわけが分からない。



「まってよ…まって…!一回止めて…やだもう…!!」

クロルの性肉を優しく撫でつつ、顔中エノの愛液まみれなミスラ。くちびるの裏っかわで陰唇をねっとりと舐り、小刻みに舌を動かしては、控えめな刺激を雛尖に与える。
ミスラはミスラで、没頭というか、あんまり理性が働いている状態ではない。

「違う違う違う!!違うの…こんなんじゃないの!!」
「んぁー?じゃぁどんなんなの?」

…づぷ。ちぷ。…ぢゅぷぅ

「ぁっぁう!やっ、った、っか、…だ、めぇ…奥は…っ!!」
「エノさんは…えらい感度がいいね」
「ふぁ…、や…ぁ、ぁっぁん!!」
「感度がいいというか、年齢のせいで鈍化した神経と、真新しい粘膜がうまいこと融合してこう…エロいことに丁度よいというか、セックスしたくてしょうがない身体になってるわけだ」
「んぁ!…や、…許してもう……、それは…ホントに…やぁぁ」
「ところでエノさんっつった方がいいの?エノでもいいの?」
「ひや!!…もぉっぉぉお…ぁぁぁ」

ミスラは膣の奥に中指と薬指を突き入れて、奥の奥の肉をぐねりとひねる。ちょっと凝ってる肉があって、それがヒクヒクと、痙攣しているのが伝わってくる。
肉が溶けたようにねとねととした、脂のような愛液。反射で跳ねる腰。尻の穴が、そのたびにすぼまる。

「つまりこう、痛いのには慣れてるけど、慣れてるからこそ、快楽のキャパがでかいというか処女なのに感じちゃうというか…あ、ここ切れてる」
「勘弁してホント勘弁して…ぁぁっぁぁぁぃぁぁ…ひぅ…ひ。…ひぅ」
「ん?んお?エノ?ちょ、やば」
「ひぐ…ひっ、…ひっぅ…ぁっ、ぁぐ」

ひっひっ・ふー

エノ・アセアリア。過呼吸にてリタイア。


・・・・・・。


「ホレこの紙袋でスーハーしてたまえ」
「うぐぅぅ…ちくしょうちくしょう…クソガキのクセに…クソガキのクセに…」

ダウンしたエノ・アセアリアを、ブラッドダリアが冷静に処置する。その横で、エノの狂態に意味がわからなそうなのが助手一号。



「痛くないの?」
「えー?大丈夫だよー」

ミスラの上ではキャリベルローズが腰を振る。大雑把で結構雑な動きなのだが、それがミスラから見れば新しい。何より、一生懸命。

生来不器用だから、おちゃらけて笑い飛ばすことで生き抜いてきた人生。自分一人で何もできないことを自覚しているからこそ、人を思いやり全力でその人に向き合おうとする、それが彼女だった。
誰かが争えば何もできないくせに割ってはいる、だから、このゲテモノぞろいの黄金猫商会の中ですら、誰一人彼女を嫌う者はいない。

「お、お、どーよキャル。…オメーひざ笑ってんじゃん」
「やーん、ユイラちゃん…いじわる」

傭兵ユイラがキャリベルローズの後ろから乳房を揉み、いつもやってる様子でおっぱいとおっぱいをくっつけあう。
セネア・セピアがミスラの顔にゆっくりとまたがって、失礼、などといいながら果肉を前後。ミスラの手に、嬉々として性器を押付けているのはバスカーヴ・ヴィレとユキボタル。

皆してミスラをおいてけぼりに楽しそうに、意味ありげな顔でクスクスクスクス。ともすれば寓話の中にでてくるイタズラ好きの妖精の群れ。魔の海に誘う人魚。
彼女達の関係をミスラは知らない。見る限り特別仲悪いことなんてことはないだろう、新参はミスラの方なのだ、そう思えば妙にさびしい。

「仲良いことなんかねーすよミスラ様…ん、ウチら酒入れたって話すことねーし」ユイラ。
「お前はバカみたいな妄想を勝手に垂れ流すだけだしな」ユキボタル。
「戦場で兵隊さんたちに片っ端から犯されたいのよねー」キャリベルローズ。

うっせーバカ、といいながら、ユイラとキャリベルローズが本気くさいキスを始める。それが見えたのもつかの間、視界はセネア・セピアの尻で埋まる。
この麗人の、飄々とした感じはなんとなくはぐれた仲間のローキスを思わせる。話に入ってはこないが、楽しんではいるのだ。自分の立ち位置をわきまえているというか、なんというか。



きゃーきゃーいう声。わいわいいう声と熱っぽい声。逃げていく体温と、痛いくらい押付けられる性器。



「ん?今入ってるの誰?」
「オウ…悪ぃな坊主、つき合え…」

バスカーヴ・ヴィレが、これまた漢らしく大雑把に腰を振る。思いっきり痛みをかみ殺している顔で、前へ後ろへ。

「悪いね少年、そろそろ私もまぜてもらうよ」

セネア・セピア。

時計は全然進んでない。ぬこぬこぬこぬこ。


・・・・・・。


一号。

人の粘膜とこれほど無関係そうな人間もおるまい。人というよりはなんか他の金属が数パーセント混ざった合金のような無骨さで、いつも上から目線だから、それはもうその自信を裏付けるような、さぞかし精緻を極めた極限の人間能力を有しているのだろうと思えばそうでもない。

どちらかといえばぶきっちょ、ちんこに触れる指もたどたどしいし、力の加減も分かってない。

「おおおうううああああ」

一人でバグって一人でパニくる。

そんな人がなんでまた口腔愛撫なんぞする気になったのか。既に何人もの体液でぬるぬるにぬめったちんこは難易度が高かろうに。

「意味が分からない意味が分からない意味が分からない意味が分からない意味が………」

ブツブツブツブツ、糸を引く透明な液に怯えつつ、ゆっくり上下。両手で包むようにするのだが、ヒナでも抱えるようにやるもんだからくすぐったいだけで快楽はない。
震えながらくちびるを亀頭に当てては、あからさまに嗚咽を漏らし、口を押さえた指の間からは、ゲロの前にでる大量のだ液がこぼれでる。涙目で、あきれた博士が助け舟をださなければ本当に吐いていたかもしれない。

「ホレホレばっちいな、この紙にペッてしたまえ、ペッて」
「ブラド様あおえあ…うおぇ」

ブラッドダリア、黙ってさえいれば色っぽいのは助手と同じで、少し濡れた髪を今はおろしている。

「お前にはまだ早かったか?なぁ一号…」
「分からない博士これなにが面白い意味分からない」
「ホレ、舌を伸ばせ。…ふふ、力はゆっくりいれるのだ」
「うぎううもうやだぁぁ」

ちぽ。…つぷ。…ちゅぼっちゅぼ…。
ちゅぶ…。

ブラッドダリアにうながされ、一号がしぶしぶと口腔愛撫を再開する。眼をつぶって、ちんこがを見ないように、それでも気持ち悪いときは、ブラッドダリアのだ液でうがいをする。

「えぶ……ぅぁ、ん、ん、んぐぁ…っぇ、…ぇぅ」

ぐぷ、ぐぷ……ぶぷ。…きゅぷり。

とろりとしただ液が、濡れたくちびると尿道を繋ぐ。ぜぇはぁとノドの奥の方で呼吸をして、やはり嗚咽。少し休んでまた再開。
ちんこを支えているのはブラッドダリア。彼女は一号のくちびるが離れた時など、スキを見ては緩やかに茎をしごいて快楽の隙間を埋める。時折サービスで這う舌。肛門をマッサージする指。

「ん……ぇぶ。……ん、ん、んっ。…ぐ…ぁぷ」


きゅぽん、きゅぶ。…ちゅぷんちゅぷん…ちゅぶぶ。…ぐぷ。
ひゅぶ、…くぽんくぽんくぽん。
ぶぽ。ぷぽん、ぷこぉ…


ねちっこい、舌と舌の裏の交わりの愛撫。熱い粘膜が、ひゅぽひゅぽとマヌケな音を立てながら抜けていく。しつこいくらい絡みつくやわらかい指。あるいは無骨な指。尿道が、舌の腹に弄ばれる。睾丸を咥えるくちびる。一号のノド奥に、尿道が当たる。

「うえあぅぅぁあなんかでてきた博士」
「ん…ゆっくり吸ってやりたまえ、ゆっくりだぞ」
「ううううう」

ちゅぶ…ちゅぼ。

「あるいは不意をついて無機質にしごく」
「ううううううやあああ」

ぬっこぬっこぬっこぬっこ

「ほれでるぞ一号。舌、もっと伸ばしたまえ」
「はうううううう」

びゅぐ、びゅる、ぎゅぶ。

「うぇうぁああぅあ生ぬるいいいあああ」
「中に残ってるのも搾ってやるのだ」
「ううううううう」

ぎゅっぽぎゅっぽぎゅっぽ…ちぅぅぅぅ

「ふふ…そのまま飲まずに…よだれと絡めてち○こをすすってやれ」
「うううう博士のバカ博士のきちがい博士の轢断死体いいぅうういうあ」

ミスラのだした精液は、一号の舌の上には乗り切らず、おでこやら鼻筋やら、汚すに汚して飛び散り跳ねる。ミスラ、最終的に、汁の残った尿道を彼女の舌の腹で拭う。


・・・・・・。


「あ…あのミスラさん…はぅ、何でボクばっかり…」
「ブロードウェイくんの肌はこう…一番すべすべするのだ…」
「もう…やだ…ロしかあってない。……クロルです」

顔の上にクロルを乗っけて、飽きることなく果肉をすするミスラ。その下腹部を、相変わらず一号がすすっている。彼女の髪の毛は精液でべっとべと。コツを掴んできたのか速度が上がり、加えこんだまましがみつく様にミスラの腰にひっついている。

「んぶ…ぁぅぅぅまたでたみすら」

飽きる事がないといえば一号も一緒。舌の上で、射精のために硬直する肉茎を感じると、器用に抜いては指でしごく。射精を眺め、その汁をアゴやらのどやらで受けきるとまた愛撫の再開。嗚咽一転、通り越して楽しくなってきたらしかった。



「ふぁ…んっぁ………。……くっ……」

クロルはいつしか丸イスの隅っこに追い込まれ、Mの字に開いた股間を責められる。
ミスラの股間には離れようとしない一号。上を向いたその口腔に、ガマンできなくなったミスラは腰を打ち込む。

ぐぽんっくぽん、くぽんくぽ…
きゅぽんきゅぽんきゅぽんきゅぽん…

「ん、んふ、んぁ、……んふぁ、うぐ…ぁん」

同時に親指で、クロルの艶やかな脾肉をぐにぐにと押し、血流を良くして今後の成長を祈ってやる。付け根の部分、汗やらなんやら溜まっていそうなところをいやらしく這っていく舌。中指と薬指が、性器に触れるか触れないかのところの肉を、ずっとうろちょろしている。

ぐねくねぐねくね。

「ふぁぅ!!」

少女の身体を、ビクリ、と小さな痙攣が襲う。クロルは反射の一種だと捕らえてくちびるを噛む。冷静にならなければ…そう思うほどに、既に声をだして呻いている自分がいて、主人の帰りを待つ子犬のような声が、一体自分の身体のどこからでているのか不思議でならなかった。

自分でも知らなかった自分。それを、ついさっき会ったばかりの男に明るみにだされることに酷い羞恥を覚える。脈絡のない思考が、頭の中に飛び散っていく。

「ぁぅ!……ぁっっぁぅ…ん!!…ふぁ…やぁ、だめ…」

柔肉を襲う舌の腹が、ついに蜜肉を覆うように包み、ぎとぎととした息を、産まれる前の肉に当てていく。腐食。クロル、押さえつけられたままの、尻の方から這い上がってくる疼痛のうねりを、なんとか受け入れようと心では思うのだが、身体が先に拒否をする。逃げようとする。



「だめ…ぅ……だめぇ」

ビクビクと跳ねる尻肉。ミスラは強引に引きずりこねり、下から上へなぞりあげる。抵抗する足、それを押さえつける野獣のてのひら。

「ん、…ふく…ぁぁぁぅ」

浮いた腰が、助けを求めてユラユラ揺れる。無毛のそこが、ただれた液のせいでテラテラと照りかえる。ミスラはそこを嫌というほどすすり続ける。それこそ犬みたいに。

ずぷ…じゅぷ、…っぷぷ。ちゅぶ…

「はぁ……くぁ……ぁ」

BGMは、人の口に男の性器がたたきつけられる音。一号さん、そこはそんなことをするところじゃありませんよ、クロルは思う。そんなにいやらしく舐めたら…一号さんだめですよ、はしたないですよ…

一号は白い歯で、亀頭の肉を軽く噛む。口の中の空気を抜いて、ほほの裏の肉で搾るように吸う。尿道の少しだけ内側を、蝶みたいに舌ですする。

クロルまた思う。ああ一号さん楽しそうですね…よかった、一号さんが楽しそうなの初めて見ました…不思議ですね、口でしてても気持ちがいいんですか…ボクは気持ちいいです…うんぬん

「……やっぱり…こういうことから眼をそらしていたら…生きてなんていけないんですね師匠…ぁふ」
「いやいや、声でてるよ」
「…ふぇ?…ぁ、…ぁっ…やだ…」

夢と現実の境界線でうつらうつらとする真面目な少女。
突然、そんな彼女の右腕から肩にかけての肉がギュゥっとしまり、ひきつけを起こしたような発作が襲う。

「ふぇ!?……ぅくっ………あぁあ…ぁっ…っく!!」

達してしまったわけである。

べっとりと濡れた股間から、ニヤニヤといやらしい顔をしたミスラがのぞく。任務達成。そのバカのちんこを、一号が先っぽだけ咥えて、きゅぽきゅぽと肉を飲むようにすすっている。この口腔に何回くらい射精したのか、連続過ぎてそろそろ腰砕け。



横を向けばオドオドと下を向いたベノがいる、リリィがいる。リリィが抱いているのはコカという名の女の子。とろりとした眼でミスラを見つめ、ゆっくりと自分で自分を慰めている。

「リリィや、リリィ!」
「あ、はいミスラさん…」
「ベノちゃんはOKなの?オレのこと嫌ってないの?」
「え?はい大丈夫ですよ。…むしろですね」

そういってリリィはミスラの耳に口を寄せる。

「ミスラさんのこと好きになっちゃったみたいです」
「なにおう!?そんなバカなことがこの世にありえるのか!?」

ベノ・ザレロは髪の毛の間からミスラを見ている。というかミスラのちんこを咥え込む一号を見ている。

「わたしもー」

コカがゆるーく、手を振る。ミスラも手を振る。そっからはもう考えるのをやめた。
嫌がる一号をムリヤリ引き離し、5人をまとめて、抱き込むようにのしかかる。全員オレのもんだなんだいいながら。時計は進まない。


・・・・・・。



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