海を渡ってきた風が急勾配を駆け上がり、日に灼けた花崗岩に潮の色を吹き付ける。ミシディア領のほぼ中央に位置する聖峰”試練の山”は、緑と青の境を貫くように、何百年と変わらぬ姿で聳えている。
草木貧しい不...「序章」をロード 21226kb.
ミシディア市の正中心に聳える巨大な古代遺跡――祈りの塔。有史以来煉瓦一枚も欠ける事なく威容を誇り続けるこの塔は、魔導国家ミシディアの象徴でもある。
塔前広場で群れをなす市民にもみくちゃにされやっとの...「一章前編」をロード 27125kb.
※実際耳には聞こえているはずのプロペラ作動音が分からない 井戸の底にいるような閉塞感
船腹に取り付けられた丸窓の向こうに、日光を反射する深い青がきらめく。
「バロンじゃ自由にヒクーテイに乗...「一章後編」をロード 23401kb.
街の灯が群青の空を焦がす。飛空艇事件によってふいにされた昼間を取り戻すかのように、今宵の盛り場は一段と賑やかだ。
双子を自室に寝かせたカインは、最後の荷物を客間のベッドに転がした。随分ぞんざいに放...「二章前編」をロード 38928kb.
人気の無い廊下を大股に歩み行く影。オイル汚れと灼けた鋼鉄の匂いで周囲から浮き立って見える壮年の男は、近衛兵の制止をはねとばし、謁見の間に通じる扉のノブをがっしと掴んだ。
蹴り破らんばかりの勢いで扉...「二章中編」をロード 34323kb.
誰かが肩を揺り動かす。薄く開いた視界にぼんやり光る金髪が映った。
「お……交代か?」
投げ出した四肢を引き寄せ上体を起こしたエッジは、腕を振り天井を突き上げる。
「バカ言うな。も...「二章後編」をロード 39791kb.
※この時点で既に山沿いに移動して何日か経ってる計算↓の行に二章最後の洞窟からは既に移動していること、パロムの訓練で何日か経過している
恵みと言うには強すぎる雨足が大地を叩き、濡れた土の温も...「第一間章」をロード 28575kb.
午前五時。薄青に塗り変わる空を、悠然と雲が行く。朝の体操を終えたカインは、部屋に戻りカーテンを勢い良く開けた。窓の向こうに見える町並みは、ガス灯が描く煙の色を残している。
「起きろ、出発だ。」 ...「三章前編」をロード 60000kb.
ダムシアン城――先の大戦では、有史上初めて飛空艇による爆撃に晒された建造物である。左右の前面奥面合わせて四本ずつ、中央部に主となる三本の塔を備えた城の外観は、多少形こそ崩したもののかつての偉容を損なってはいない...「三章後編」をロード 46733kb.
「ファイア!」
少年の声が開いた氷壁の向こう、敷き詰められた白い化粧石が雲への道を真っ直ぐに示す。
明らかに心臓破りであろう前途を目の当たりにし、金と濃紫それぞれの前髪の下の眼がげんなり...「四章前編」をロード 31844kb.
異形の生物が招いたざわめきが高山の風に舞う。
依然として棒立ちのエッジからパロムの回収を終えたカインは、改めてモンク集団の頭領と面峙した。ゆったりとしたフォルムの下履きが朱の裾に風を蓄え、黄橙の留...「四章後編」をロード 37793kb.
ブラシで乱暴に擦りつけたような掠雲の下、真白い帆は風をはらみ、群青の中心を船が揚々と進む。
「よぅ、お客人がた、乗り心地はどうだい!」
船縁に立つカインとポロムの元に、一際光るファブール...「五章前編」をロード 31178kb.
朝日を逃れた暗闇が揺蕩う小径の終点、木戸で仕切られた空間が、ほの揺らぐ人工の灯りによって充たされる。
ミシディア祈りの塔・地下蔵書室。書棚の林を抜け、遠征部隊四人が定位置に付いたところで、これから...「五章後編」をロード 66652kb.
議論の熱気が過ぎ去った蔵書室で、蝋燭は丸火の先に小さな二つの影を燻らせる。
筆立てにペンを戻したポロムは、完成した議事録を恭しく巻き上げた。言葉足りない個所の補足や、誤綴の訂正を終えた今、それは頼...「第二間章」をロード 34220kb.
ミシディア大陸を南から回り、連なる列島を小石づたいにちょうど十数えてから針路を東に取る。足の早い潮の流れを捉えた船は滞り無く行程を消化し、一行はいよいよトロイア上陸の日を迎えた。
自ら小舟の櫂を取...「六章前編」をロード 43249kb.
目を開けると、彩花を満面に浮かせた早暁が目に飛び込んできた。首を捩ると、薄布に踊る木漏れ日が見える。
二度の瞬きで己の所在地を呼び起こしたカインは、二度寝への誘いを布団から蹴り出した。そのまま床に...「六章中編」をロード 39917kb.
日がややその色を増し、時計の短針は夕闇のニ段上で静かな昼下がりに寝そべる。
湖畔を渡る風が城の回廊をめぐり中庭に吹き溜まる。湖の清浄な水の香りが、ベンチに並んで腰掛けた旅装の少女と娘の間に座る。&n...「六章後編」をロード 37517kb.
白く聳える異形の塔を旋回し、黒チョコボの羽音が痩せた地に降りる。潤沢なトロイアの森を見た直後だけに、櫛葉を頭冠に頂いた真っ直ぐな幹の並びが寂しく見える。足元には背が低く腰の強い草が据わる堅い地面。海風の潮は山...「七章前編」をロード 30356kb.
帰城の挨拶もそこそこに、道すがら打ち合わせた通り、爺を王家所蔵庫へ運び込む。かつてはそれなりに宝物の類を収めていたのだが、襲撃の際に中身が綺麗さっぱり持ち去られ、壊れた壁の修繕も程ほどに空いていた部屋だ。居住...「七章後編」をロード 28248kb.
バブイル。雲さえ貫き立ちはだかる白亜の怪塔。海路で来ると、エブラーナの陸地より先にこの塔が見える。現代のもののみならず、古い時代の海図にさえ目印として描かれている。
間近に立って見上げる。この巨大...「八章前編」をロード 53487kb.
忍者自慢の腹中時計が地上時間にしておおよそ三日の経過を告げた後、いよいよ気球の組み立てが完了した。巨大なエンベロープは、限られたスペースに広げるため、仮の骨組み・支骨を入れることで所要面積を削っている。戦車の...「八章後編」をロード 33784kb.
クリスタルを手に入れた一行は、ジオット城に別れを告げ再びバブイルの塔へ足を向けた。目指すは地上。
前回来た道を戻るだけ リフトに乗って地上部へ連絡する可動通路へ
長い通路を歩いてる途中で、...「九章前編」をロード 33323kb.
「本当に申し訳ない……」
「警戒するのも無理からん。分かってくれたなら何より」
誤解による非礼を再三詫びた一行は、月の民二人に前後を挟まれる形で月の館の長い廊下を歩く 低く腹の底に響く振り子時...「九章後編」をロード 32336kb.
故郷の空気をゆっくり体に馴染ませている時間もない。一刻も早くバロンへ向かわなければならない。エブラーナ城へ向かい、デビルロードを乗り継ぐのが最も早いだろう。
一行の帰りを待つ間に教授が設えた簡易書...「十章前編」をロード 38137kb.
遺跡への道 外郭透明なガラス張りの海底トンネル
初めて見る海の中 真っ暗 遠くにぼんやり見える青い光がトンネル出口か? カンテラ灯し
灯した瞬間視界がフラッシュ まさか、カンテラに目を眩...「十章中編」をロード 24090kb.
渾然一体の暗闇がゆっくりと回り出し、やがて闇と光に分かれる
今やはっきりと別れた白と黒の明滅 段々明滅する速度が早くなる 回転するプロペラの生み出す影
長い夢を見ていたようだ はっと我に...「十章後編」をロード 27733kb.
エブラーナ
「殿下!」
じいや点滴がらがら引いてエッジの元へ歩み寄り
「おうっ、調子はどうよ?」
エッジ、書類を丸めて置く 各地に散らした”草”からの報告書 ダムシアン、フ...「終章」をロード 15489kb.