バトルがあっさり終わっちゃったので、多少のものたりなさを感じる。やっぱり一番は魔術と体術を組み合わせて繰り広げられるオーフェンの戦闘描写だよなあ。「あそこそ」で今後オーフェンがバトることはあるのだろうか。
「オーフェン」における「二大わからんキャラ」、その片割れであるコルゴン。この章でだいぶ――東部編を読んだときに比べて、という意味でだが――コルゴンがどのような人間なのか見えてきたように思う。「はぐれ旅」本編を読んでいた当時は、コルゴンが「何をしているのか・何をしたいのか・何をしようとしているのか」がさっぱりわからず、キャラクター造形もどこか茫としていて掴みづらかった。いや、むしろ東部編は構造そのものからして茫洋としているのだが。
作中で具体的な行動や表現をいくら示されても、どこかそれらが表面的な言い様に見えて、作者の用意した台本をなぞっているようなあまり立体的でない存在、それがコルゴンにたいする印象だった。
キャラクター造形といっても、生い立ちやら設定やら性格やらを指して言いたいのではない。東部編におけるコルゴンはただ作者から与えられた「役割」を遂行するためのキャラクターであり、しかもその役割すらさほど重要なものではなかったので、出ずっぱりにもかかわらず鍵となるキャラクターには見えなかった。
いや重要でない、というのは安易な表現だな。もう少し細かく言ってみよう。印象的なシーンを演出する役割を負っていたのだが、役割そのものに関しては印象的でなかったのだ。ざっと東部編を読み返した限り、コルゴンはどこか宙に浮いた存在といおうか、中途半端な扱いだったように思えるのだ。
平たく言えば、私にはコルゴンが窮屈で広がりのない造形をなされていると見えていた。
あ、そうか。「同質にして正逆」が第三部のキーワードなのだな。……と、きわめていまさらなことにたいして納得する。いや、仮にも東部編での重要なキャラだと思われたコルゴンについての説明を、東部編ではなく後日談でやる理由がよくわからなかったので。
そして「二大わからんキャラ」のもう片方、というかコルゴン以上にわからんのがクリーオウだが、こちらは今もってやっぱりわからない(笑)。リアルタイムで読んでいたころもそうだったし、多少文章を読むということを身につけた今ならどうだろうと読み返しても結果は同じだった。
せっかく「オーフェン」熱が高まっていることであるし、クリーオウについてはいずれわからんなりに考えをまとめてみたい。<できるのか?
ところでコルゴンが登場するはるか前、さる即売会で「コルゴン×コミクロン」という内容の同人誌を発行した猛者を見かけたことがあるのだが、そこでのコルゴンはどういう人物だったのだろう。実際に手に取ってみなかったことが悔やまれる。