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TRIGUNの映画

 なかなか秋田箱の感想を書く余裕がないよう。

 2010年4月公開ということで嬉しく思う。実に嬉しい。数年前に「TRIGUN X(仮)」というタイトルで再びテレビアニメ化される、というニュースが出て以降、どうなることかと気を揉んでいたのだから実に長かった。
 で、その前売り券を冬コミで内藤御大直々に対面販売するそうな。
 TVシリーズも再放送するそうな。放送局はTOKYO MXというからおそらく東京のみなんだろう。
 …羨ましくない。サイン会だって毎度毎度諦めてたんだし今更対面販売くらいで驚かない。再放送?DVD見るから問題ない。
 さらに1月には「血界戦線」の単行本が発売される。数字が振られるということは、こりゃ続編も期待して間違いなかろう。めでたいめでたい。
 さらにさらに、カラーページも全て再現したTRIGUNの新装版も刊行されるのである。やれ嬉しやめでたや…というより御大はどれだけ私から搾り取ろうというのか。SQの広告で見たときは正直「勘弁してぇぇぇぇぇーッ!」状態だった。嬉し涙は血の涙なり。

 どうせ搾り取るならアクションフィギュアの続編(ミリィどうなったんデスかマヂで)と超豪華画集もよろしくお願いします、とジャンピング土下座。

「もう、しませんから。」

 今週の「もう、しませんから。」に待望の福本伸行が登場した。「もうしま」はこれまでマガジン連載陣に取材していたし、フリーマーケットの回でも商品寄贈として名前だけ登場していた。だから「零」が始まってからいつか登場するのではないかと心待ちにしていた私にとっては、とても嬉しい展開。昨年の講演会でも、「もうしま」を読んでいる、と発言していたからなあ。
 にしても、今週は毎度おなじみ森川ジョージをはじめ、あまりに登場メンバーが豪華すぎて吹いた。次週も楽しみじゃわい。

ワシズ、あと零について

 ひさびさに福本の話題。
 怪作と名高い「ワシズ」、とうとう単行本になる。……2巻出るのかな、と早くも心配に。だって竹書房だもの。
 あらためて頭から通して読むと、最初こそまだ普通…じゃないよなコレ。ともかく普通ではないがまだしもスピンアウトっぽい雰囲気を残していたのに、話が進むごとに描く方もなにかが乗り移ってきたのであろうか。加速度的にイカれっぷりも増していく。なんつーか、読んでると脳からヤバい物質がズビズバ出てくる気がする。
 鷲巣様が指を詰めさせたり麻雀牌を詰めたりトカゲ食うたりマッチョになったり地下鉄作ったりやりたい放題。もはや福本ワールドがかけらも残っていない。さすが原恵一郎である。素晴らしい中毒性だ。
 そういえば隼は鈴木の若き日の姿、ということになっているが、最初からいるあの部下も吉岡なのだろうか?あの忠節ぶりは吉岡を髣髴とさせるのだけれど、いずれは言及されるといいなあ。

 「零」が休載の間に思いつきを書きつらね。
 打ち切り(……)になってしまった「涯」の轍を踏まないようにか、「零」は意識的に現代的な風潮に合わせて描かれている。展開を早めにしているところをみると、おそらく打ち合わせの段階からかなりきっちりとプロットを詰めているのではないだろうか。
 あと賭博覇王伝、と銘打っているわりにギャンブルがあまり絡んでいないのは、福本伸行=ギャンブル漫画のイメージから題名がつけられたんだろうな。もちろんこの「選抜」が終われば、タイトルに合致するような、世界の富豪を相手取るギャンブルが始まるのかもしれない。でもいまのところは、何かを賭けるというより何かを乗り越える方が主題だと思われ。
 まあこれは何回か書いていることである。
 最近気になっているのは、この漫画の主人公、零のことだ。福本漫画は、あまりキャラクターの背景を重視しない。もちろんそれは主人公についてもいえることであって、漫画を読んでいてもキャラクターの前歴はそこから読み取ることができないし、そうしたことは福本漫画にとってさほどの意味を持たない要素だと感じられる。
 それが、「零」ではこれまでの作品とはやや趣が異なる。たとえば登場人物の名前が特徴的なものであったり、各自の行動に「目的」が設定されている点が私に「今までと違う」という印象を与えるのだ。
 もちろん以前の作品でも各キャラクターは目的を持って行動している。これまではキャラクターの目的=話の展開だったのが、「零」は必ずしもそうではない。様々な「目的」が物語の中でうごめいているように見える。以前と比較して群像劇的、と言えばいいのだろうか。
 ……ちと表現に困るな。私自身、なんとなくそう感じているという程度の話なので、まだ明確に考えが固まっていない。ご容赦の程を。
 さて、主人公の零について。かれはいったい何者なんだろう、というのが最近の私の疑問だ。秀才であり、少年漫画の主人公にふさわしい(やや前時代的すぎるほど)まっとうな正義感と純粋さを持つ零だが、なぜ自殺サイトに投稿していた少年たちを集めたのか、なぜ振り込め詐欺被害者を救おうとしたのか、という動機はまだ語られていない。
 むろん零の真正直さを表すために、わかりよい時事問題を持ってきたと考えることもできる。しかし、それにしてはやっていることが大仰と言おうか、行動に出るための内的動機、零自身がそれらの時事問題をどう考えているのか、が描かれなさ過ぎているように見える。
 ひとことで言えば、ちょいと前段階をすっ飛ばしている気がするのだな。
 まあ私はたいてい考えすぎるので、あまり重要でない要素を深刻にとらえているのかもしれない。この先作中で零の来歴が描かれる保障もないしなあ。

 今日もまたまとまらずに終わる。

「キングアビス」なかむらたかし

 半ば以上あきらめていた単行本が発売された。まずはめでたい。絶対に近所の書店では置かないだろうと最初からジュンク堂へゴー。……したのはいいのだが、久々に行ったなんばのジュンク堂は新刊の配置が謎なことになっていて、しばらく店内をさまよってしまった。
 人間のほかに3種族の異能者が暮らしている世界。王の命じた異能者狩りにより、村もろとも皆殺しの目に遭わされた少年、キャルは妹と仲間たちと共に王都を目指している。一方の王都には、謎めいた力を持った王子アビスがいた。どうやらアビスには世界と神に関わる目的があるようなのだが……。
 と、まあまだまだ風呂敷が広げられたばかり。1巻は、なかむらたかしの手になる美しい描線を堪能した。あとは続刊を祈るだけである。……出るのかなぁ。いやまぢで心配。
 ところで、昨年末のオエセル祭でまた「ファンタジックチルドレン」の朗読劇があったらしいのだが。あのー、どうにかCD化してもらえませんか(涙)。

「血界戦線」第3話

 をを、ジャンプSQ次号から加藤和恵の新連載が始まるのか。楽しみじゃわい。
 そして内藤御大の短期集中連載、今月で早くも最終話。先月号を読んだ時点では、「この風呂敷をどーやってたたむんだろう?」と心配したほどの盛大な広げっぷりだったが、ゆるりさらりとたたまれてしまった。うむ、心配した私が愚かであったな!
 てか御大の心にもあの精霊は刻みこまれていたのだね。名前、伏せてないけど大丈夫なのだろうか。
 一応ラスボスっぽく見えた堕落王さんもいいキャラだったなぁ。思わず「さん」づけをしてしまうくらいに。「TRIGUN」をあれだけ力こめて描いていたから、しばらくは御大の漫画は軽めな感じになるのかもしれぬ。「血界戦線」も適度に連載続けられそうなネタをちりばめたまんまであるし、ひょっとしたらまたお目にかかれるかも?と期待。

今週の「月光条例」

 ちょいとばかし遅い話題だが、今週号のサンデー「月光条例」を読んでいて「ええっ!」となった。
 まずあの世界にも「みかど市」があるということ。みかど市といったらあなた、「うしおととら」の潮たちが暮らす街じゃないですか。うしとらと完全に同じ世界なのか、名前だけ同じ別の街かはさておき、思わず反応。
 「月光条例」には過去の藤田作品の登場人物たちがちらほらと姿を見せているけど、単なるファンサービスやスターシステムの一環なのかな。しかし藤田和日郎のことだから、壮大な後付け伏線になりそうな気がしないでもない(笑)。
 それから、皆川ゆかの名前が出てきたのにも驚いた。サンデー読者も知ってそうな有名な作家ではなく、なぜ皆川ゆかが。いや皆川ゆかは「うしおととら」愛読してたから(「運命のタロット」が書かれた一端はそこにあるし)、繋がりは皆無というわけでもない、か?

「Under the Rose」船戸明里

 すごかった。
 いや単純な一言だけではまだ足りぬ。なんという漫画だ。凄まじい。
 初めて福本伸行、特に「カイジ」や初期短編集を読んだときも頭を鈍器で殴られたと思ったくらい衝撃を受けたものだが、「Unde the Rose」はそれとは異種の、しかし同程度の圧力をもってのしかかってくる作品だった。ページをめくるたびに、紙面から滲み立つものが心にずぶりずぶりと入りこんでくるようだ。
 漫画の表現力とはこんなことまでできるのか、と改めて感動する。これまで手を出さなかったのは不明と言わざるを得まい。
 1巻の時点では「ヴィクトリア朝の貴族の館を舞台にしたミステリー調の話」程度の認識しかなかった。しかしこの作品は、読者の浅慮を叩きのめすがごとく、物語の進展とともに迫力と鋭さを増していくのだ(特に3巻と4巻の素晴らしいことといったら!)。

 なお作者の船戸明里は「流血女神伝」の挿画を担当しているのだが、中盤の「暗き神の鎖」以降は表紙絵のみで、挿絵はなくなってしまっている。
 多忙のためとのことで残念に思っていたのだけれど、確かにこんな作品を生み出していたらそうそうほかの仕事に取りかかるのは難しいわー。納得した。

内藤泰弘「血界戦線」

 ジャンプSQで内藤御大の新作が今号より短期連載なりよひゃっほー。昨年5月に同誌で掲載された読みきり「血界戦線」を連載用に組みなおしての再登場。
 コマの隅から隅まで満ちた内藤ワールドに読んでるだけでテンションだだ上がり。また読みきり版よりも世界観の広がりが感じられ、その点も嬉しい。
 今回の連載と読みきり、もう1話なにか加えたら単行本になるなあ。いっそアワーズに掲載された「CALL XXXX」(訂正。アワーズに載った読みきりは「SATELLITE LOVERS」だった)とか。
 どーでもいいが内藤立ちで黒髪黒スーツの絵面は心臓に悪いのでやめていただきたいものだ(笑)。いや今回のは女キャラなんだけど。

零と愉快な仲間たち

 ひさびさに福本系の話題を出してみる。
 福本漫画を読みとくキーワードのひとつとして「仲間」を設定しているのだけれど、そういう意味で現在「零」でかれらが挑んでいるザ・アンカーを興味深いものとして読んでいた。
 これまで零が挑んできたギャンブルにおいて、零はすべて自身の能力だけで勝ちをおさめてきた。しかしザ・アンカーは違う。三人一組で挑戦するこのゲームは全員がクイズに答えなければならず、しかも生死を握る「アンカー問題」はランダムで出現するため零ひとりの力で勝つことは非常に困難だ。機転が利き、知識の豊富な(それこそ小太郎が呆れるほどに)零であっても、ユウキと末崎の協力なしには勝ち抜けないのだ。
 とはいえ、ギャンブルの内容がクイズということもあってユウキと末崎の対処能力は圧倒的に零に劣る。そのうえ頭上では常に巨大な錨が振り子のように行き来し、冷静さはたやすく奪い去られてしまう。ついでに、根性のひん曲がった小太郎がミスをするたびしつこく嫌味を言ってくれたりもするというおまけつき。
 そういう状況下で、鬼才・福本伸行が提示した「仲間とは何か」という問いに対する回答は意外にも(?)しごく真っ当なものだった。
 いわく「仲間とは、隣にいるだけで心強いもの」いや本当に正面きってぶつけてきたなー……、というのが正直な感想。実を言うとすこしばかり拍子抜けしたのだが、それは私がひねくれすぎた物の見方をしていたからだろう。
 福本伸行という漫画家は作品世界にとても真摯だ。「零」も徹頭徹尾少年漫画として描こうと決めているのだな、と一連のエピソードを読んでいてあらためて考えた。

 要約するとふくもとせんせーだいすきー、ってことです。

福本伸行コンビニコミック

 拍手いただいたので感謝の舞を踊ってみる。つーらららー。え?見られない?そのバヤイ、なにとぞ心の目でご覧頂きたく。

 夏あたりから、福本伸行のコンビニコミックがあいついで出版されている。昨年はアニメ化されることもあって「カイジ」のコンビニコミック版が出ていたが、今回出ているのは初期短編集。いまのとこ「熱いぜ辺ちゃん」「鉄と天馬」「真実の男」「銀ヤンマ」が刊行されている。
 「辺ちゃん」は表題作のみが、「鉄と天馬」は「無頼な風 鉄」「熱いぜ天馬」の二作が、そして「真実の男」と「銀ヤンマ」には表題作のほか読みきりがいくつか収録されているようだ。まだ中身を確認していないが、収録された読みきりは以前竹書房から出た自薦短編集のみからで、未収録作品はない模様。まあ、今回の版元も竹書房だからしかたないか。
 初期作品スキーの私としては、これをきっかけに広く読まれてほしいなあ。「ワニの初恋」とかすごい好きだっ…!

 ついでに以前作った100人ソートをぺたし。初期作品のキャラもいるよ!→「ざわざわ100人ソート」
 もっと多いのはこちら→「ざわざわソート」 (正直、自分でも122人は多すぎると思った……)

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